運動神経というのは、「自分の体を、自分の思いどおりに動かすときに使う神経(能力)のこと」です。
そのため、運動神経が良ければ、自分のイメージした動きは、かなりできるようになります。
ただ、運動神経が良かったとしても、スポーツが上手にできるとは限りません。
なぜなら、スポーツというのは、体の力(筋力)も必要になるからです。
たとえば、運動神経が良ければ、100m走で、「よーいドン!」の合図に、速く反応することはできますよ。
ただ、運動神経が良かったとしても、筋力が弱ければ、速く、強く体を動かすことができません。
そのため、運動神経が良い人でも、筋力がある人に、負けてしまいます。
同じように、たとえば、運動神経が良い人がボクシングをやったとしても、筋力が弱ければ、スピードが遅いし、パンチも弱くなってしまいます。
その結果、筋力がある人に、一発のパンチだけで倒されてしまうこともあります。
スポーツというのは、運動神経に、体の力(筋力)がプラスされることで、上手に行うことができるということですね。
さらに、人よりもスポーツができるアスリートは、自分の体を、自分の思いどおりに動かせるだけでなく、
そのスポーツで必要な筋力を鍛えているから、そのスポーツで人に負けないくらい、上手に行うことができるようになっています。
スポーツによって、必要な筋肉が異なるので、そのスポーツに必要な筋肉を鍛えることで、大きな結果を出すことができるということですね。
【補足:筋肉の性質は遺伝する】
運動神経については、小さいころからの環境や生き方によって変わるため、「遺伝ではない」と言われています。
ただ、筋肉の性質については遺伝する(人によって生まれ持ったものがある)と言われています。
たとえば、小学生のときに、かけっこが速い子どもがいますよね?
あれは、「速筋」という、短時間に大きな力を発揮する筋肉が多いからです。
もちろん、「幼いころにたくさん走っていた」などの理由もあるかもしれませんよ。
ただ、小学生までであれば、みんな同じような育ち方をしているので、かけっこで大きく差がつくことはないはずですよね?
筋肉の性質は遺伝するため、短距離走に適した筋肉が多い子もいれば、「遅筋」という長距離走に適した筋肉が多い子もいる、ということです。
その後のトレーニングによって、筋肉は鍛えることができます。
でも、遺伝ではない運動神経と違って、筋肉の性質については、遺伝の要因もあるということを、知っておいてくださいね。
日本人が、ウサイン・ボルトと同じタイムで100m走を走ることができないのは、努力の差ではなく、筋肉の性質がそもそも違うからです。